詩の読解:筑波大学附属駒場中H28過去問より

kuro

ちょっと、最近扱った中学入試の過去問について、書いてみます。

今回扱うのは、筑波大学附属駒場中H28【3】問2です。

国語の「良いなあ・・・」と思える問題は、解いているうちに、言葉の意味をじっくり考えさせてくれます。

詩は、木坂涼作「秋の砂」です。

問題はこちら(要会員登録)
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問二 「足あとを/波のさきにのこした」のはなぜですか。

正直、難問です。。。

まず、「わたし」が「海」に、

そんなに
いいことはないよ

と言ったあと、「わたし」はどう思ったのかを考えます。
その根拠は最後の連にあります。

海に嫌味を言ったあとの
苦笑で
すこし軽くなった足あとを

です。

冒頭のツイートにもあるように、この問題への解答の糸口は、ここ。

この「苦笑」という言葉がヒントです。

そもそも苦笑ってなんなのか?辞書で引いてみましょう。

苦笑
他人または自分の行動やおかれた状況の愚かしさ・こっけいさに、不快感やとまどいの気持ちをもちながら、しかたなく笑うこと。(goo辞書)

この辞書の説明をふまえて、この詩においてどうして「わたし」は「苦笑」したのか、つまり、自分のことを「こっけい」に感じたのか?を考えることが解答への道筋に繋がります。

一つの解答としては、「自分も、陸に上がりたがるあの『海』と同じじゃないか?」と思えた、と考えられます。

「この世界にいいことは、ない!」と、はっきり断定して切り捨ててしまうことまではできない。心のどこかで「でもやっぱり現実の世界に何か価値があるんじゃないのか?」という気持ちを捨てきれない自分がいるのかも知れない。

そう思っていたからこそ、「そんな自分が海にあんな嫌味を言うなんて、こっけいだな」と思ったと推測できます。

その「海への共感」もしくは「親しみ」が、「足跡をのこす」につながるのでした。

この詩のテーマは、「陸(現実世界)に対しての捨てられない希望と、海に対する共感・親しみ」なのかな、と思います。

このように、キーワードの言葉の意味をどれだけ深く理解しているかを、国語の問題は問うてくるわけですね。

参考にしてください!

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