春です。進路相談にあたり

suna

 新年度に向けて、いろいろな方から進路のご相談をいただくようになりました。

 ちょうど、いろんなテストが行われるシーズンで、日々いろいろと考えさせられる出来事が起こります。

 

新年度に向けて夢をふくらませていたり、「また一緒だね」と喜びあったり、その一方で、今まで仲良くしてもらってきた人と少し縁遠くなってしまったり、新しい生活に飛び込むことがこの時期に決まる人も多いことと思います。

春にはいろんなテストと、それに伴う生活の変化があります。

 3年、6年、9年も勉強しても、テストは、たったの3日だったり、1日だったり、100分だったり、50分だったり。それは確かに、何かを公平に評価しているわけです。けれども、それで人の全てが量れるわけではありません。

 学習塾や学校には成績別のクラスがあります。

 私は、大学卒業直後、トップクラスの講師として配属されることが多かく、はっぱかけるためにいろんなことを言いました。毎年、彼らのプライドくすぐるために、定番の説教のようなものがあったわけです。経験が浅いけれども元気で勝気な若い講師は、そういうクラスに配属されることが多いのだと思います。

向上心というのは、常に「今の自分を変えてゆかねばならない」という強烈な劣等感の裏返しです。間違いなく、私も生徒も、「これは正しい向上心」と信じて必死に勉強していました。自分に厳しい子が多かったと思います。勉強への思いを共有する仲間だけの空間は、責任感の強い子どもたちにとって、大変居心地よい空間だったと思います。

 新任でもなくなってくると、いろんなクラスを見るようになりましたが、今この位置から一歩ずつ頑張ってほしいとの願いを込めて、いろんな言葉をかけました。

でも、年齢をへて、つくづく自分の言葉を振り返ります。その言葉は、望むクラスに入れないことでストレスを受けている人にはどんな風に聞こえたでしょう。必死な分だけ、どのクラスの子も視野が狭くなっています。プライドは大切ですが、それだけで人間を決めつけかねないような風潮を作ってしまわなかったか。。

私は、けして、「かわいそうな人にきついことを言うのをやめよう」という話をしているのではありません。むしろ、親も含め、調子に乗っている時が要注意だと思うのです。

よく、日本では昔から、スポーツの指導の際に「勝った後ガッツポーズをしない」などということが言われますが、あれは本来「負けた人の気持ちも考えなさい」などという生易しいものではないのだと思います。むしろ、「そういう時にこそ油断するな」という警告なのだと思います。

 あるスポーツで毎年優勝する子がいます。お母様はけして、優勝してもほめません。合格後、優勝後というのは、気を付けなくては、目標を見失う時でもあるわけです。そういう時こそ、落ち着いた生活を失わないように、気を引き締めなおさなければならないのかもしれません。

 私は恵まれたことに、尊敬できる保護者の方々や諸先生方との出会いをたくさんいただき、いろいろな方に戒めの言葉をいただきました。

 一番心に残っているのは、教育実習の際に先生から実習生一同にかけられた言葉です。

「ここにいる生徒は、みな、あなたたちより偉くなる可能性を持った生徒ばかりです。あほなことしてるなあと思っても、少し離れてなまあたたかーく見守ってください。生徒の制服注意する間に自分の服装を気にしてください。普通にしていてください。」といった内容でした。

 ちょっと名前の知れた学校です。実習生のほとんどが卒業生で、いろんな理由で実習に来ていました。まあ、、そんな学校出てる人間の中でよりによって教師になろうなんて、たいしたことない奴のすることなわけです。先生としては、単純に、教壇でのトラブルを心配してかけた言葉だったかもしれませんが、私は今でも大切に思っています。

先生の言葉は、、全ての師弟関係にあてはまるものだと思うからです。

「青は藍より出でて藍よりも青し」全ての教師にはそれを受け入れるだけの器が求められている。プライドだけで良かった学生時代とは違うわけです。

 うまくいっていなくても、本人が何かやろうとしているなら、一歩離れて見守れと言います。むしろ、うまく行き過ぎているときにたしなめるのが親の役目だと言う人もいます。

 

 春には様々な出会いと別れがあります。つなぎとめる友情もあれば手放す友情もあり、つなぎとめる愛情もあれば、手放す愛情もあります。

 いずれにせよ、今までの環境に感謝し、気持ちの上でもきちんと修了、卒業して、新しい環境で、または、同じ環境で、、心新たに前に進んで行けますように。

 

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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