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強行突破~カナダへの道㊱

Toria

*35話を読む

2か月待ったものの、T社からの就労証明を得る事は出来なかった。

コンサルタントに、どうにもならないと伝えると
電話の向こうで、いつもながらの淡々とした口調でコンサルタントは答えた。
「わかりました。こうなったら、こちらで何とかしてみましょう。
 カナダ国内で就労している事を、すでに労働局の書類上で知っています。
 何とか、なると思います」 

…だったら、この2か月のヤキモキはなんだったんだ!?と思いつつも
とりあえず、前に進める事にほっ!とした。 

ユルユルな感じではあるが、強行突破!といったところだ。
ところが、ひとつ障害を乗り越えたと思っていたら
そこから更に、わたしの一番の難関がやって来た! 

コンサルタントからのメールには
「そろそろ、英語の公式テストのスコアを用意しましょう。出来るだけ早く受験してください」
書かれている。
 

2002年以前までは、永住権申請に
語学の公式テスト受験・スコアの提出は必要ではなかったと記憶している。
特に、労働者選抜の場合は
すでにカナダで労働ビザを得て就労している者も多く
敢えて、語学力を証明する必要はなかったと思われる。
ところが、わたしが永住権申請をするタイミングでは
IELTもしくはCELPIPという英語熟練度を測る英語検定のスコア提出が必要だった。 

今では、IELTSはポピュラーだが
2002
年当時のわたしは、IELTSCELPIPも初めて聞くテストの名前。
そして、参考書や問題集を探すも本屋で見つからない。
IELTSを主宰するブリティッシュ・カウンシルに問い合わせ仕入れたのが
コピー用紙に印刷された、過去数年間の問題集とリスニング対策のカセットテープ1本。 

このIELTS、基本イギリス英語で出題。
リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと
全ての角度から英語力を測られる
わたしにとって、何とも恐ろしいテスト。

わたしは受験英語で、読み書きはソコソコ勉強してきたものの
カナダに来て3年目になっても、リスニングとスピーキングに自信がなかった。

IELTSの英語はイギリス英語。
カナダ・ノバスコシア州で普段、聞こえてくる英語の発音やアクセントとはかなり異なる。
ましてや、わたしが仕事で通う、ニューファウンドランド州の英語はもっと異なる。 

必要なスコアは最低でも6.0
何しろ、過去に英語の検定試験と言ったら英検3級しか受けた事が無い。
そのわたしが、いきなりIELTS6.0以上とは… 無理だと思った。 

Cafetalkで英語を勉強している生徒さんはご存じでしょう~。
あの手のテスト、時間内にすべてを終わらすのが大変です!
そんな事さえ、まだ知らず
何から勉強してよいかわからず。 
持っているのは、過去問とカセットテープ。

私は出張の無い日は、近隣の大学図書館に一日居座り
4か月、過去問題集を繰り返し“やる!”。
それだけに徹した。 

過去問のほとんど解答を覚えて、この勉強が何の意味も成していないと思われたが
それしか、やりようが無かった。
そして、迎えた試験日~2003年2月

試験会場である英語学校には、IELTS受験者はわたし一人だった。
それくらい、当時はまだメジャーなテストではなかった。

試験は始まった。
リスニング、リーディング
「あぁぁぁぁ! 思っているより難しい」と思いながら
とにかくペンを走らせた。
もう、途中であきらめたい!と思ったが
受験料が当時でも300ドル近く、それを考えると一発でどうにかしたかった。

午後の英作文に至っては、自分で何を作文しているかもわからず書きなぐり
いよいよ、最後のスピーキング。
試験官と1対1の面接方式。
自己紹介やそれに関するトピックにはスラスラと話は出来たものの
その後の、近年の気象状況に関して思う質問・スピーチを促されると
頭が真っ白になってしまい、言葉が出てこなくなった。
「お・わ・っ・た!」と思った。 

しかし、面接官の温情だろうか。
その後も一所懸命、角度を変えての色々な質問を投げかけてきてくれ
何とか、途切れ途切れ返答。
試験官の「永住権申請なのね。幸運を祈っています」で、試験は終わった。 

終わった…けれども、こりゃ!また受験するようだな。
スコアが6.0を超えなければ、申請は難しい。
永住権申請はいつ出来るだろうか…暗澹たる気持ちで家路を急いだ。 

2週間後

郵送で送られてきた結果は申請可能なスコアを超えていた。

第一段階の、すべての書類がこれで揃い
コンサルタントの「これで行きましょう」との一言で
ついに、20033月 カナダ移民局に永住権申請書類を送付。
その書類の厚さは、2センチ以上だった。

そこから1年経っても移民局からは何も音沙汰がなかった。
待つのも永住権申請の過程…

ここまでも辛かったが、ただただ待つのも辛いのだ…


Lady GaGa, Ariana Grande - Rain on me (2020)

結局、あの日系企業からは就労証明書はゲット出来ませんでした。
でも、何とか永住権申請の準備を進めていく中で
避けて通れなかったのが、英語!
実は、この短期決戦のIELTS独学勉強。
この後、仕事をしていて「あれ?英語がわかる」という場面が多くなったのです。
それに、やれば出来るんだ!という自信にも繋がりましたね~ 続きを読む

TORIA (o ̄∇ ̄)/

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