学級委員長はいつもマントクさんだった。
僕が転校してくる前からそうだったのだろう。
マントクさんは真面目で業務を淡々とこなしていた。
僕が驚いたのはずっと委員長をやらされていたことだ。
だからといって代わりにやって目立ちたくないし、
何より面倒なのでそういうのはできる限り避けたい。
みんな同じ考えなのか、どの学年でも推薦されていた。
そのうち諦めて自薦するようになった。
クラスの委員会を決める会議は全く面白くなかった。
僕を含めてみんな人任せ。
できるだけ楽をしたい。
誰も協力をしない中、押しつけで副委員長や書紀が決まった。
ハシモト先生も全然興味がない様子だった。
僕は寝る前に悩んだ。
今のままのふざけたキャラを続けるか、
真面目に勉強を頑張って友だちと遊ぶのを止めるか。
よくわからないけど二択で悩んだ。
マントクさんを見ててかわいそうだと思ったが、
人を引き付けなければイジメられないのかもしれない。
やり方は下手かもしれないけど効率がいいのかもしれない。
その日はずっと悩んでも答えは出なかった。
何日か迷い続けても真面目に努力する決断ができなかった。
人は急に変わることができないのかもしれない。
僕は結局自分自身を変えることはできず、
ふざけて努力せず生きる道を選んだ。
それが良い決断なのかはわからない。
でも、真面目という選択肢を選んでいたら、
僕には友達はいなかったと思う。
努力をしないでなるべく楽をする。
悲しいことに今でもその癖は残っている。
僕はマコトと体育委員会になった。
二人とも体育は苦手だったが、
体育用具室の備品の点検と巡回という簡単な内容だったからだ。
二人で中休みや昼休みに点検して次の人にノートを渡す。
そして、委員会のときに報告するだけだった。
「鉄棒のネジが緩んでいました」
毎回しっかり締めても次の点検で緩んでいる。
僕とマコトは錆びた鉄棒にハテナマークを浮かべて、
委員会で報告する度に笑われた。
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