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一緒に考えるお稽古

中村勇太

ヴァイオリンの習熟過程は、昭和の時代からいくつかの高名な先生方によるメソッドや教本をなぞる時代が続いてきました。

しかし、そういった伝統的な教材を辿るだけ、指導者がかつて教わった流れだけでは生徒さんの成長が止まってしまうケースが多くあります。

つまづいてしまうことは必ずありますし、細かい積み残しが溜まった壁は、いつかやってきます。

そこで「できない」と思うと、もう脳が考えることをやめてしまうので閃く可能性がゼロになります。
こうなってしまうと、生徒さん本人の中からやり直すエネルギーを導けるのは環境による刺激だけです。

いかに、自分自身で楽しさを再開発していけるか、がより深い楽しみ、より高い意識、より優れた技術に繋がっていくはずです。

おすすめする教材はあります。
しかし、そのいずれについても、使いこなすための下敷き(理論)が必要です。

すでに、生徒さん自身にこの理論を導くことを求める指導法は時代遅れになっています。

もちろん、個別の体格による自己管理部分はありすし、自力でできそうなところは見守りますが、その部分に柔軟性を持たせた基礎理論はあるわけです。

こちらは自分の経験、指導の経験から、基礎理論の知見があります。

これをそのまま与えるだけでは、自己研鑽のレベルには到達できません。
そこで必要なのが、一緒に考える環境だと考えます。

なぜうまくいかない?
この疑問に対して、ヒントとなる視点や着眼点を順序立てて提案することにより、生徒さんが考え、理解するステップを設けることができます。

その過程や結果にあるのが、要領や効率のアップでしょう。

そのときの教材としては、巨匠といわれる人々のインタビューや自叙伝にある、幼少時に取り組んだ楽曲の記録が大変参考になります。

なんで、こんなに早くそんなに教材レベルを超えた曲が弾けるんだろう?
若い時の僕自身が、周りの人々を見てずっと抱いていた謎です(笑)

実際には、謎というほどのものではなく、読譜、楽器に合わせた体のコントロールを積み重ねているだけなんです。

それが、なんとなくできる人がいます。
なんとなくできない、つまり一言われて十わからないならば、一から十までやるべきでしょう。

そのためには、数ヶ月、半年かけてじっくりと隅から隅まで楽曲と付き合う必要があります。

次はレパートリーとは?を書いてみたいと思います。

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本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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