先日、役所に行ったとき、とても若い職員から名前を聞かれました。
「お名前を頂戴してもよろしいですか?」と。
お名前を頂戴する?
「名刺を頂戴する」なら使えますが、名前を頂戴されたら私の名前、なくなります。
役所の職員がこれではちと困ります。
「頂戴する」は、「もらう、食べる」などの物の移動を表すときの謙譲語です。
謙譲語の使い方としては正しいですが、状況的におかしいです。(名前✖ 名刺など〇)
これ、ビジネスマナー講座ではよく指摘される間違いです。
でも、この職員は大学出たてくらいの職員でしたので仕方ないかもしれません。
ビジネスマナー用語を教えない職場、職場の先輩が悪いと思います。
私はその言い方は間違いです。ビジネスマナーのユーチューブ見たら出てきますよと
やさしく言いました。
この職員が憎いわけでも嫌いなわけでもないです。
ただ、このままこの言い方を続けるとこの職員が恥をかき続けることになります。
だから教えたまでです。
笑顔も少なかったこの職員、その後ビジネスマナー勉強したでしょうか?
それから間もないころ、不用品回収業者に電話をしました。
応対したテレホンオペレーターも同じ表現を使いました。
このときは、何も言いませんでした。
でもこのテレホンオペレーターも悪いわけではありません。
指導しない会社が悪いだけです。
「お名前を教えてください。」
「お名前を教えていただけますか」
「お名前をお聞きしてもよろしいですか」
「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
なお、(教えて頂けますか?)✖ ➡(教えていただけますか?)〇
補助動詞の「いただく」は、書き言葉のときはひらがなです。
「名前を教えてください」も丁寧ではありますが、丁寧度がやや低くなる感じもしますしスト
レート過ぎる感じになります。
ここら辺がAIや独学ではなかなか理解できない日本語のニュアンスの違いです。
日本語を勉強している皆さんが一番苦労するところでしょう。
こういう説明をするために日本語講師がいます。
フリートークするだけの日本語講師は、失格ということです。
語彙、文法、文型、発音(アクセントイントネーション)ビジネスマナーその他を教えること
ができる先生が「本物の日本語講師」です。
私が本物の日本語講師と言っているわけではありません。私もまだまだです。
でも話すだけのレッスンはしません。だれでもできますから。
ご飯を食べるときの「頂きます」は、「頂戴します」にすべきだと指導するテレビでも有名な
超厳しいマナー講師がいますが、慣習的に「頂きます」でいいと思います。
動詞の「いただく」は、漢字OKです。迷ったらひらがなです。
また、「頂戴いたします」自体は、「頂戴する」「いたす」で二重敬語と言われています。
これも慣習的に「頂戴いたします」でいいとも聞きましたが、正式には「頂戴します」ですか
ね。
日本語は時代とともに変わっていくものです。難しいですね。
「変わっていくものです」の「もの」もひらがなです。
「物」(実質名詞) もの(形式名詞)
「時は来た、いざ鎌倉」(実質名詞)
「こんなときは・・・」(形式名詞、漢字不可) (こんな場合に変換可能)
なお、法律用語ではある時点を表す場合は、「時」を使うようです。
「犯人の家に行った時、すでに被害者は殺されていた。」
(法律用語の「時」は、日本語教育では例外扱いでしょう。」
名無しの権兵衛になりかけた日本語講師でした。ちゃんちゃん
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