僕は中学生の頃、保健室に行くことが多かった。
保健室登校ではなく、怪我や体調不良でお世話になっていた。
素直になれない時期だったけれど、保健室だけは特別な場所だった。
保健室の先生はいつも「よく来たね」と笑顔で迎えてくれた。
帰り際に「失礼しました」と言うと、「またおいで」と返してくれた。
その言葉が嬉しいと感じた自分がいたのを覚えている。
普段は誰に対しても反抗的だったけれど、先生にだけは素直に従った。
そこで反抗するほどひねくれてはいなかったのだと思う。
僕はよく怪我をした。
下校時にガードレールを乗り越えようとして頭から落ちたこともあったし、
坂道を自転車で下りていて制御を失い、大きな怪我をしたこともあった。
また、体調を崩すことも多かった。
唇の手術をしたり、虫刺されアレルギーで腫れ上がったり、
風邪や花粉症に悩まされる日々だった。
そのたびに僕は保健室に足を運び、時には病院通いもした。
先生に病欠届や保険の書類をお願いすることも何度もあったが、
先生はいつも笑顔で対応してくれた。
その笑顔は単なる業務的なものではなく、
心から心配してくれているものだと感じた。
僕はその表情に救われたことが何度もあった。
僕が卒業した年、先生は転任してしまった。
最後に保健室のドアを閉めた瞬間を、今でも覚えている。
「これで最後なんだ」と思いながら振り返ることもできず、
静かにその場所を後にした。
そして、その後一度も先生に会うことはなかった。
先生にちゃんと「ありがとうございました」と伝えられなかったことが、心残りだ。
保健室は僕にとって特別な場所だった。
学校という閉塞感の中で、ほんの少し心が軽くなる場所だった。
それを守ってくれた先生に感謝してもしきれない。
先生、お元気ですか?
僕は今、あの頃より少しだけ成長しましたが、まだまだ未熟です。
それでも、先生のように誰かにとって心の支えになれる人になりたいと思っています。
P.S. ケイスケは元気にやっています。
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