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計算しない物理学

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物理的な常識力を高めることで、物理の理解はずっと深まります。共通テストのレベルなら、殆ど計算せずに答えが出せるようになるでしょう。数回のレッスンでも効果あり。
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レッスンの詳細

「物理中級」のレッスンでは、微分・積分を用いて 「しっかり計算する物理学」 をやっていますが、ここでやるのは、物理的な考え方を重視した 「計算しない物理学」 です。

興味のある方は、次の例で体験してください。2022年度の大学入試共通テスト問題の1つです。物理をまだ学習していない方でも理解できるでしょう。


           


この問題に正しく解答するためには、計算する必要はありません。ほぼ日常生活の「常識力」で解決できます。まず、次の2つのケースを考えてみて下さい。


         A: 質量mが非常に小さい場合

つまりm=0と考えてよい場合です。「Q点にハエが止まっている」などと想像してみて下さい

この時には、円盤はP点に括り付けた糸にぶら下げられているだけなので、中心Oは鉛直線上にあって左右対称になるはずです。


つまりこの場合は、x=0でなければなりません。実際にm=0を代入してx=0となるのは、①と②しかありません。③と④はアウトです。


         B: 質量mが非常に大きい場合


Aとは逆の場合です。mが大きいとするかわりに、Mが非常に軽いとしても構いません。

そこで、まず①の解答で、mを重くして行ってみましょう。すると、おかしなことが起こります。mの値が大きくなると分母が小さくなりますから、全体は大きくなります。そしてm=Mに近づくと、無限大に発散します。

さらにmの値がMの値を超えると、今度はxの値が負になります。つまり、円盤は逆方向に傾ぐことになってしまいます。これはあり得ないでしょう。

一方②では、mの値を大きくすると(あるいはMをゼロに近づけると)x=dとなり、PとQが鉛直線状に並ぶことになりますが・・・非常に軽い円盤を介して重いmがぶら下がっていると考えると、円盤は単に糸の延長の役を果たしているだけになりますから、これは当然ですね?

従って、正解は②となります。

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マークシート方式の問題では、選択肢が与えられているため、全く物理の知識がない人でも、単に常識力で解答できる問題が多くあります。

記述式の問題では選択肢が与えられていませんので、自分で式を立てて答えを導かなければいけません。しかしその場合でも、上のような常識力を鍛えておけば、出来たはずの問題を計算間違えで落としてしまった、ということは殆どなくなります。

上の解答は一見「裏技」にみえますが、常識力を鍛えることはむしろ物理学の基本です。日常生活には物理現象が溢れており、このようなセンスは日常生活から得られるもので、物理の面白さの一つと言えるでしょう。

レッスンの回数は、自分で「コツが掴めた」と感じるまでで良いと思います。2~3回でも、ものの見方が大きく変わって来るでしょう。


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