yut Tutor Interview
- Q. yut先生こんにちは。スペインに住んで6年!スペインでの生活についてお聞きしたいです。まず、スペインに住むことになった、”ひょんなきっかけ”とはなんだったのでしょうか?
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A. 結婚を期にスペインに住むことになったことですね。「がんばってね」と励ましてくれた人もいたんですが、自分のなかでは何の心配もありませんでした。スペイン語もほとんどしゃべれなかったのに変な自信だなぁと振り返って思います。日本からの荷物で一番多かったのはご飯関係の荷物。言葉よりもご飯のほうが心配だったようです笑。
- Q. 先生のコラムでも、ひまわり畑やパエージャなどスペインのことを紹介されていますが、先生がお住まいのバレンシアについて教えて下さい!
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A. バレンシアはスペイン第三の都市で、3月の火祭り(ファジャス)、バレンシアオレンジが有名です。今年はジャパンウィークもやってきます。県内にはトマト祭りで有名な町ブニョルもあって、今年は4000人もの日本人が参加したそうですよ(外国中第一位)。たまたまそのお祭りが昨日あったんですが、新聞に「日本人が祭りを侵略する(Los japoneses invaden la fiesta)」とありました笑。いつもお日様サンサンで気候がいいので、気管支疾患や皮膚病をお持ちの方がここに来るといいと聞いたことがあります。農業が伝統的に盛んな地域で野菜がすごく安くておいしいですね。ここに来られた方は野菜の味が濃いとよくおっしゃいます。地中海ということもあって新鮮な魚も簡単に手に入ります。そしてなによりうれしいのがお米の産地だということ。スペイン一の生産地です。なので心配していた日本との食生活の変化にあまり苦労はなかったように思います。そういった食材でできるパエージャは最高です。コラムでも紹介したのですがこちらでいう一般的なパエージャはウサギと鶏の肉を使ったもので、慣れてしまうとこれが一番おいしく感じます。季節によってオプションで別の具を入れたりするのですが、秋から春にかけてのカタツムリやアーティチョークの入ったパエージャはもう格別のおいしさです。
- Q. スペインに住んでいてよかった!といった、スペインならではの出来事はありますか?
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A. まず休暇が長いことでしょうか笑。一般的に正規従業員として1年間勤続すると4週間の夏休みがもらえます。またクリスマス休暇も10日ほど与えられます。そのベースにあるものは、家族を大切にする価値観で、他国同様そういった伝統的な価値観も徐々に壊れつつありますが、基本的に休日は家族みんなで過ごして、休暇もそのためにあるという考え方ですね。あとは地域差はありますが国民性として、楽観的・きさくでユーモアがあって表現豊か、そしてみなさん愛情深いですね。大切な人への呼び方はなんともすごい愛情を感じますね。mi amor(私の愛)、cielo(空)、cariño(愛情)、 mi vida(私の人生)と、日本語なら赤面ものです笑。スペインならでの出来事といいますか、時間感覚のズレはよく感じます。おおらかなんですね。仕事で「これすぐ終わらせて」と言われて文字通りすぐに終わらせると「”すぐに”は”今日中”ってことだったんだよ」と言われたことがあります。地下鉄の遅れはしょっちゅうですし、待ち合わせのときはだいたい30分のスパンをみておきます。それに救われることもあるんですけどね笑
- Q. スペイン語のレッスンについてお聞きします。つい、文法からスタートしてしまう言語の勉強ですが、先生のおすすめは”最初は日常会話から”ですね!会話から始める利点はなんでしょうか?
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A. まず言葉は使わないと覚えない・忘れるという理由から、日常会話であれば使うので覚えて忘れないということですね。これは体験に基づいているのですが、スペイン語が話せるようになると今まで話せていた英語の記憶がどこか彼方へ飛んで行ってしまいました。使わないからですね。自分でもびっくりしました、言葉に出てこないんですよ。それで覚えてる言葉って音とすごく関係が深いんだなってことがわかりました。ネイティブではないと、日常会話を練習している過程で必ずいつか文法が必要になります。そういう風に必要になった時に必要になったものを勉強したらいいと思うんです。そうしたタイミングがモチベーションを下げない秘訣です。いま必要で知りたい文法をそのつど学べばちゃんと頭に残ると言う意味で効率的でもあります。こういうステップを積み重ねた上で改めて文法を一からやると理解・定着がいいですよ。英語のグラマーの授業を喜々として受けていた人ってたぶんあんまりいませんよね。やっぱり最初に文法から入ると大部分の人はモチベーションが上がらないんじゃないかと、それでその言語をあきらめてしまうのはとても残念なことです。(もちろん文法が純粋に楽しい方もいらっしゃいます。私もその1人です笑)。日常会話は大切です。それが人々がよく使う言葉として残ってきたのは、それが重要な単語・構文だからだと思います。なにかの言語学の本で読んだのですが、語学で日常会話が一番難しいんだそうです。確かに、会話って全感覚を駆使しますよね。自分のいいたいことを考えるのと同時に相手の言ってることも理解しないといけないし、会話の流れや無意識で感じ取っているメッセージもあります。本当はすごく複雑な作業なんです。最後に一番シンプルなことですが、会話で自分の思いが通じると、また勉強しようっていう気持ちになっちゃいますね。決め手は何と言ってもそこじゃないでしょうか。
- Q. コラムでご紹介下さったBBCのスペイン語講座、聞いてみました!あのクオリティ、容量で無料は素晴らしいですね!先生は、いつから・どのようにスペイン語を始めて、仕事をするまでに上達したのでしょうか?
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A.スペインに住むことが決まってスペイン語会話の本を買って自学を始めました。その後文法が必要になって文法の本を買ってまた自学。さらに表現を高めたいと思い、構文・表現方法の本を買ってまた自学といった具合です笑。私の場合、スペイン語を話す最高の環境にいた(スペインに住んでいた)ということは大きいです。なので外国語の上達には地道な勉強と、その語学環境をどれだけつくれるかが重要ですね。あとはモチベーション。こちらに来て当初、自分の思いを伝えられなくて本当に悔しい思いをしました。言葉が話せない・伝わらない無力感を痛感したのが今でも私のモチベーションのベースになっています。
スペイン語の歌もよく聞きました。グロリア・エステファンの歌は英語・スペイン語の2ヶ国語で歌われているものが多いので英語との比較でも参考になりました。それに歌はなにより忘れにくいです。一時期頭打ちの時期があったのですが、読書をすることで乗り越えられました。スペイン語版「ナショナル・ジオグラフィック」誌を読んでいるときは、如実に自分の語学力が上がっていくのを感じました。これは今思うことですが、科学の本は文学作品を読むよりも読解力向上に役立つのではないでしょうか。というのは、科学系の本は比喩や回りくどい表現を使わずに理論的に述べてありますよね。ですので文法がわかっていれば読み取れます。文学作品は文章のセンスや感覚的なものが要求されて難しいと思います。あ、でももちろん、一番大切なのは自分の好きな本を読むことです!
- Q. カフェトークの生徒へメッセージをお願いします!
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A. スペイン語は世界で2番目に話者人口の多い言語で、発音は母音が多いので日本人になじみやすいと思います。また話される国・地域によってバラエティーに富んだ魅力的な言語です。カフェトークのレッスンを通してその魅力を知ってもらえるきっかけになったらとてもうれしいです。スペイン語を教えている立場ではありますが、生徒の皆さんから気づかされることもたくさんあります。はっとするような質問をくれたり、知らない中南米の文化について教えてくれたりと私自身も発見があり、いまレッスンを担当している私の生徒の皆さんには授業に対するポジティブな姿勢を含めて本当に感謝しています。¡Mis queridos alumn@s, muchísimas gracias!レッスン等に関する質問がありましたら気軽にお尋ねくださいね。これからもどうぞよろしくおねがいします!