英国の思い出 ー 鳥との交流(3)

Urashima Taro



このシリーズでは、英国の鳥が人を怖れない、ということを書いてきましたが、英国の鳥はその他の点でも、日本の鳥と行動様式がかなり変っているように思います。

  

 

鳥の交通事故

 

動物が交通事故の犠牲になることは、どこの国でもあります。

 

日本では猫が犠牲になることが多いようですが、英国では猫より野兎でした。

 

そして、鳥の犠牲もかなりの数にのぼります。

日本では珍しいと思いますが、街中でその瞬間を目撃することがしばしばありました。

人間を怖れない彼らは、街中でも頻繁に低空飛行します。そして車に当てられてしまうのです。

 

動体視力が弱いのか、動いている物にふらふらと平気で近づきます。

私の車にぶつかってきたこともありました。横から急に、空中に現れるので、避けようがありません。徐行している車でも、接触すれば鳥は失神します。

 

車の速度の違いも原因の一つでしょうが、私は鳥に俊敏さが欠けているのが、最も大きな原因ではないかと思いました。 

「英国の虫」のシリーズで、英国では虫の動きが遅いと書きましたが、気温が低いと、動物は動きが緩慢になります。人間も然りですが、鳥も御多分に漏れません。

そもそも餌になる虫がのろいので、鳥も俊敏さを必要としないのでしょう。

 

 

 

メタボスズメの秋

 

行動様式が(日本と比べて)変わっているという点で、秋のスズメは傑作でした。

 

英国にもスズメがいます。数は日本より少ないようですが、見かけも鳴き声も同じであり、間違いなくスズメでした。

 

いわゆる群雀(むらすずめ)は見た記憶がありません。単独行動です。人間も・・・英国人は個人主義なので、鳥も真似しているのか・・・と思ったこともありますが・・・日本のスズメは米を良く食べるので田に集まり、群れるのかもしれません。


英国でコメはあまり栽培されていませんが、彼らは何を食しているのでしょうか?

 

 

やはり主食は虫のようです。

秋が深まってくると、彼らは食べまくります。越冬のための食い溜めでしょう。鈍重でも虫は簡単に捕食できるので、食料には事欠きません。

 

そして・・・晩秋になると・・・木の根の付近に、動けなくなった雀が転がっているのをよく見かけました。

信じられないほどに、丸々と太っていました。太りすぎている上に、腹が一杯なので、大変苦しそうです。

 

近づくとさすがに、逃げなければと思うのか、羽をばたつかせてもがきますが・・・腹を上にして、仰向けになったまま、体の向きを変えることすらできません。

たとえ体勢を立て直して羽ばたいても、この体重では離陸できないでしょう。

 

最初にこの光景を見た時は、怪我をしているのかと思い、拾い上げて調べてみましたが、もはや逃げることは諦め、されるがままでした。

木の根の付近で良く見かけたのは、樹液を食料とする虫を食べていたのかもしれません。

 

 

こんな間抜けな鳥に食われる虫も、虫ですが・・・

 

何しろ季節によっては、口を開けているだけで餌が勝手に胃袋に入って来るほどなので、交通事故さえなければ英国は鳥の天国です。

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

コメント (0)

ログインして、コメント投稿 ログイン »

出身国:

居住国:

教えるカテゴリ

講師の言語

日本語   ネイティブ
英語   不便を感じない

Urashima Taro講師の人気コラム

  • 高校生向け

    英国の思い出 ー 虫の知らせ(2)

    (前回のつづき)前回、英国の虫のサイズについてお話しましたが、私はその時にはじめて、夕方に自転車に乗るとき悩まされていた虫の集団の正体がわかりました。虫のサイズと動き   実際、これほど小さい虫は見...

    Urashima Taro

    Urashima Taro

    0
    3183
    2022年10月30日
  • 高校生向け

    英国の思い出 ー 鳥との交流(1)

    前回までの虫シリーズに続いて、虫の predator である鳥の話をしましょう。人を怖れない英国の鳥   英国を初めて訪れた日本人が必ず驚くことの一つは、鳥が、人を殆ど怖れないことです。日本人の集ま...

    Urashima Taro

    Urashima Taro

    0
    2152
    2022年11月12日
  • 高校生向け

    回り道をした人々 ー P.H. 教授の話(2)

    前回からの続きです。 奇跡の人   どのようにして大学に入学し、博士課程の奨学金まで得ることができたのか・・・それについては、Pは語りませんでした。 しかし誰もが口を揃えて、ドイツの教育制度で...

    Urashima Taro

    Urashima Taro

    0
    2151
    2022年12月23日
  • 高校生向け

    英国の思い出 ー 虫の知らせ(1)

    カフェトーク新参の浦島太郎です。主として理系科目を教えています。未就学児童から中・高校生、受験生、社会人まで、多様な方々のリクエストに対応するつもりでおりますが、今のところ関心を持って下さる方々は高...

    Urashima Taro

    Urashima Taro

    0
    1866
    2022年10月23日
« 全講師コラム一覧へ戻る

お気軽にご質問ください!