小学校3年生の1学期、私はタクシーで通学していた。
それは、家が裕福だからではなく、
引っ越し準備と妹の入院が重なったからだ。
家族が父方の祖父母と同居するために、
5キロ離れた祖父母の家を建て替え、
そこに引っ越すことになった。
そのときちょうど妹が病気にかかり入院した。
家が完成するまでの間、両親は妹の病院に通い、
私は祖父母と一緒にボロアパートで過ごした。
学校は家が完成してから通うことになったが、
その間は今までの学校に通い続けた。
結果として、私は学校からアパートまでタクシー通学することになった。
タクシーを待つ間、先生と話をしたことを覚えている。
一人だけタクシー通学することは、
友達と一緒に帰れなくなり寂しかった。
しかし、もっと寂しかったのは弟かもしれない。
幼い弟は毎日アパートで私が帰るのを待っていた。
私の前にはクジさんが転校していった。
私もその学校に行くことになっていたので、
クジさんを送る会の作文には、
「僕もすぐそっちの小学校に行くから!」
と書いて、自分の似顔絵を描いた。
クジさんを送る会では、
彼女がトランプの手品をしていたが、
手つきが下手でタネがバレてしまった。
そして、私を送る会。
みんな笑顔で私を送り出してくれた。
私はナカミチ君のときに泣いたのに、
誰一人として泣いてくれる人はいなかった。
ちょっと悲しかった。
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