チャプリンが作曲したことで有名で、人気のスタンダード曲「Smile」。
実は少し悲しい曲です。
1936年、米国大恐慌時代の映画「モダンタイムズ」の為にチャプリンが作曲(おそらく鼻歌を誰かが聞き取って譜面化)した曲で、歌詞が付けられたのはずっと後の1954年。金融システムそのものが原因の初めての大不況。まじめに労働していていれば明るい未来が待っている、と信じていた人達にとっては先の見えない日々でした。貯金が無い、仕事が無い、食べるものが無い、家が無い、誰も助けてくれない。
大恐慌が過去のものになり、第二次世界大戦を経た1954年になっても、こういう辛い記憶は多くの人々の心に深く刻まれていたんじゃないでしょうか。そこで書かれた歌詞は
Smile though your heart is aching
Smile even though it's breaking
When there are clouds in the sky, You'll get by
心が張り裂けるような悲しみの中にいる「あなた」にそれでも「笑ってよ」と歌いかけています。楽しいから笑うんじゃなくて、笑っているうちに少しは楽しくなるよ、と。
You'll find that life is still worthwhile
If you'll just smile
「笑っていれば、生きる意味が見つかるよ」
笑いながら生きて、笑いながら死んでいくことが出来れば、素敵な人生ですよね。もちろん経済的に余裕があって、美味しいものを食べたり、色々な場所に旅行に行けたり、お洒落が出来たら素晴らしいけど、笑顔を忘れたら台無し。家族がいて、友達がいて、楽しい会話が出来て、誰かが面白い話をしてくれる。
この曲を歌う時はリスナーに、そして自分の大事な人に、語りかけるように歌いましょう。人を励ます為でもあり、自分自身も励ます為に。シンプルな歌詞ですが、リズムパターンやテンポで伝わるニュアンスが変わってきますね。
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