中学生になって初めてのテストで、80人中6位だった。
悔しさなんて感じることもなく、
「ああ、自分はこんなもんだな」と早々に割り切っていた。
国語の漢字問題で絵画を「えが」と書いて出した時点で、
トップを狙うのはもう遠い話だし、そもそもそんな野望もない。
「小学校の感覚でサボっていると痛い目に遭うぞ」
とハシモト先生に釘を刺されたが、必死に勉強するほどの情熱もなかった。
努力や継続なんて自分の辞書にはないし、家での勉強時間なんてゼロ。
授業さえ聞いていれば何とかなったし、それ以上やる気はまったくなかった。
ただ、好きな科目と苦手な科目は露骨に分かれていた。
歴史や公民にはいまいち興味が湧かず、ずっと70点台で足を引っ張っていたけれど、
数学と理科は何もせずとも90点台。
だから、別に順位を上げようとは思わなかった。
気づけば、テストを重ねるごとに他のみんなが成績を落とす中で、
僕はひょっこり学年3位になっていた。
両親は順位が上がったらお小遣いをくれると言っていたけれど、維持ではボーナスなし。
しかも、僕は何かに一生懸命になるタイプでもない。
そんな僕を見て父がある日、テスト前の夜に「いい加減に目覚めろ!」と叫んだ。
工業高校出身の父に「勉強しろ」と言われたくないと思いつつ、
「起きてるよ」と答えたら、
その瞬間、父が箱ティッシュを投げてきた。
だが、ティッシュは虚しく空を切って床に落ちた。
結局そのティッシュ、誰が拾うと思う?
コメント (0)