日本語では「私」は、しばしば省略される。 古文では、この傾向はもっと強く、省略された言葉を補わないと文章の流れがつかめなくなる。 また、和歌の世界では、「われ」が主語であるというのは暗黙の了解で、「...
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男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり。 ― 『土佐日記』より 授業などでよく取り上げられるところなので詳しいことは省くが、前の「なり」は...
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小野小町は、美人の誉れが高いが、「古今集」を代表する女流歌人でもある。 次のような歌を残している。 花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに 花の色があせてしまっ...
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華やかな光源氏の物語は皆さんご存知でしょう。 ただ、紫式部は源氏の苦悩・死まで書いてしまいました。 妻である女三宮と柏木の密通。不義の子、薫の誕生。すべてを知った源氏は苦悩します。 また、源氏の死は...
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最近見つけて、いっぺんに気に入ってしまった歌がある。 宮城野のもとあらの小萩露を重み 風を待つごと君をこそ待て (宮城野の下葉のまばらな萩は露が重いのでしなだれて...
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ここのところ築140年の古民家カフェの片隅に陣取り、ごそごそ、ぱたぱたしています。 こうすけという猫もやってきて、隣で寝ています。 疲れたら、庭の梅の花を眺めたり、置いてあるピアノできらきらぼしを練...
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いよいよ、7日(日曜)から、NNHK大河ドラマ『光る君へ』が始まります。主人公は、言わずと知れた紫式部です。私も、紫式部が、短くて、多分、幸せだった結婚生活ののち、どのように大作、源氏物語を書くよう...
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マリー・ホウィット 原作 トニー・ディトリズィ 絵 "うちの客間にいらっしゃいませんか?”と、くもはハエに言った。―というのは、人口に膾炙(かいしゃ)した出だしであるが、この言い古されたくもとハエ...
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三船の才とは、詩歌、管弦(漢詩・和歌・音楽)の、三つの才能を兼ね備えていることを言う。 藤原公任(ふじわらのきんとう)が有名であるが、平安時代にはこの三つの才が、貴族の教養とされていたことがわか...
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シェル・シルバースタインの作。昔、一本の木があった。そして、その木は少年を愛していた。少年は、毎日、木のところにきて、リンゴを食べ、枝をゆすり、幹を滑り降りた。木は幸せだった。少年は年を取り、木から...
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枕草子 二百五一段で、清少納言は次のように言っている。 よろずの事よりも情あるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ。 はさらなり、女もめでたくおぼゆれ。(すべての事にまさって、情があるということ...
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レオ・リオーニ作ペツェティーノは、みんなが大きくてすごいことをする世界に住んでいました。でも、彼は小さく、ただのかけらでした。それが、ペツェティーノの意味です。自分は誰かほかの人の部分に違いないと思...
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枕草子二百五十段に、 男こそ、なほいとありがたくあやしき心地したるものはあれ。いと清げなる人を捨てて、にくげなる人を持たるもあやしかし。(男の気持ちは、全くわからないわ。とて...
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レオ・リオーニ作。 小さな池に、ヒメハヤとオタマジャクシがすんでいた。 オタマジャクシは、成長してカエルになり、陸に上がった。 カエルは、新しい世界でいろいろなものを見て、ヒメハヤに話して聞かせた。...
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春の日に、日が暮れるまで、子供と毬をついて遊んだ・・・。というイメージの良寛さんも、恋をした。貞心尼という若い女性が、良寛さんの前に現れたのである。良寛さんの歌を読み、尊敬していた貞心尼は、情熱的に...
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レオ・リオーニの作。ねずみたちは、寒い冬に備えて食べ物を集めていたが、フレデリックは働かなかった。なぜかと聞かれて、フレデリックは「寒い冬に備えて、日の光を集めているのさ。」などと答えた。冬が来て、...
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中世には、俳諧(滑稽)の連歌が、さかんに行われた。「新鮮犬筑波集」では、この前句ひとつに対して、有名な「ぬす人をとらへてみればわが子なり」など三句の付句がつけてある。松永提督は、「あぶらかす」の中で...
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今昔物語にある話である。学僧たちが、桃園(世尊時)で、夕方の講座を待つ間、興福寺の中算という僧が言った。「なんとこのお屋敷のキダチ(木立)はよそとまるで違いますな。」そばで聞いていた、木寺の基増(き...
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君が行く道のながてをくりたたね 焼きほろぼさむ天の火もがも(あなたが行く長い道のりを繰り寄せて、焼きつくしてしまうような天の火がほしい。) ...
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今昔物語に、抜け目のないしたたかな小役人の話が出てくる。公務で帰りが遅くなった男は、牛車で大宮大路を進んでいた。車の中で男は、突然衣服を全て脱ぎ、たたんで敷物の下にきちんとしまった。そして、冠を付け...
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徒然草の第四十段にある話。因幡の国に、何とかの入道という人の娘がいた。美人だといううわさを聞いて、たくさんの人が求婚した。ただこの娘は、栗ばかり食べて、米を全く食べなかった。だから、親が「こんな変わ...
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十訓抄にある話。ある殿上人が、暗い夜、皇太后のお屋敷に参って通路にたたずんでいた。ちょうどその時、人の足音がして、たくさんの人が御前から下りてきた。庭の鑓水に、蛍が群れ飛んでいるのを見た女房が、「す...
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沙石集にある話であるが、花を盗むとは、風流な盗人である。隆尊というお坊さんが、関東を修行しているとき、ある地頭の庭の桜の花を一枝追って逃げた。その地頭が、それを見つけて、家来たちに坊さんを捕えさせた...
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醒酔笑にある話。小僧が夜更けに長い棒を持ち、庭の中をあちらこちらと振り回している。坊主がこれを見つけ、何をやっているのだと尋ねたところ、「空の星が欲しくて、打ち落とそうとするんですが、落ちなくって。...
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寛永五年(1628年)成立の『醒酔笑』のしょっぱなにある「謂えば謂われる(よくも言った)ものの由来」の、その第一番目に「そらごと」の由来がある。その大意は、次のようになっている。そらごとを言うものを...
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沙石集の巻第三にある、女童の話。ある宮仕えのなま女房がいた。『源氏物語』や『狭衣物語』などを取り散らかして、うわべは優雅な風情であるが、その実、せちがらいひねくれ者だった。使っていた女童に、出す食事...
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沙石集に文字の読めない僧の話がある。昔は文字の読めない人がたくさんいたから、僧の中にいたとしても不思議ではない。ある在家で、『大般若経』を読む儀式を行ったところ、愚かな僧がいてお経をさかさまに持って...
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沙石集の巻八に、もの騒がせな智運房という僧が出てくる。エピソードはいろいろあるが、酒の席でのこと。夜が更けて後、「もっと、酒買ってこい。」ということになった。この僧が、徳利を持って酒屋に行き、ほどな...
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源氏の女性遍歴のなかに、末摘花という女性がでてくる。まじまじと末摘花を見た源氏は、仰天する。まず、胴長で背が曲がって見える。そして、その鼻は、びっくりするほど高く長く、先のほうが少し垂れて、赤く色づ...
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