ロンドン生活こぼれ話 その⑰ レディファーストの文化

Sachiko

 先日、日本に住んでいる外国人が出演する日本のテレビ番組を見ていた時の事です。「電車等で席を譲るのに躊躇した事はありますか?」という質問に、イギリス人の男性が「イギリスはレディファーストの国だから、女性なら年齢を問わず男性は譲る」と言っていたのを聞いて「あぁ、なるほど」と思いました。

 実は私もバスに乗っていた時にイギリス人の男の子に「ここ座る?」と席を譲られた事があります。「私、そんなに疲れてるように見えたかな?」とその時は思ったのですが、レディファーストの文化からきていたのですね。

 そう思って色々な事を考えてみると、思い当たる事がいくつかあります。狭い通路等で反対側から人が来た時等、男性はほとんどの場合「お先にどうぞ」と言って先に通らせてくれます。他にも私がコートを着ようとすると、男性が私が着やすいようにコートを持ってくれたりします。ただ、それをやってくれた人達はイギリス出身の人達で無かった事もあるので、イギリス人に限った事では無いかもしれません。

 他にも少し高級なレストランで働いていた時には「料理やドリンクを提供する時はまず女性から」「ワインを提供する時は、男性にテイスティングをしてもらい、その後必ず女性からサーブする」と教育を受けました。

 あと、これはレディーファーストの話ではないのですが、イギリスではバスや地下鉄でお年寄りが乗って来ると、皆自然と席を譲ります。日本で電車に乗っていた時にはあまり席を譲る人を見掛けなかったのですが、やはり「あまり年をとっていなさそうな人に譲るのは失礼かな」、等色々考えてしまうから譲りにくいのかもしれないですね。

 ただレディファーストの事を踏まえて考えてみると、私がイギリスでお年寄りに席を譲ろうとしても「大丈夫、立ってられるから。」「すぐ降りるから大丈夫」と断られる事がたまにあります。でもよく考えてみると、断られたのはほとんど男性のお年寄りの方だった気がします。女性の場合は大体席を譲ると「ありがとう」と言って座る気がします。やはり、若い頃からレディーファーストの文化で優先的に席を譲ってもらったりしている為、譲ってもらう事が当たり前になっているからなのでしょうか。

 いつもこのコラムではイギリスで生活していて大変だな、と思う事を書く事の多い私ですが、こうやってお年寄りや女性に気を使う文化は良いな、と思います。他にも男女問わずイギリスでは皆、自分がドアを開けた時に後ろから他の人が来てる場合は、その人の為にドアを開けて待ってあげたりします。こういったちょっとした気遣いって良いですよね。

This column was published by the author in their personal capacity.
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Comments (2)

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  • Sachiko

    イギリスではこのコラムに書いた様なちょっとした気配りは文化として根付いていますが、ロンドンではやはり都会と言う事と、色々な国の人が住んでいるからか、実は自己中心的な人がたくさんいます。ですので私は日本に帰ると親切な人々に触れて「日本って良いな」と思ってしまいます。実はこのコラムには書きませんでしたが、こちらの年配の女性は譲ってもらって当たり前といった態度でずうずうしい方もたまにいます。ですので、どの国にいても感謝の気持ちと人への思いやりというのは忘れずに過ごして行きたいですよね。

  • pocketcandy33x

    今の日本人はとても自己中心に感じますよね。イギリスに住んでいると思いやりがあるような気配があり 人との付き合いもスムーズに行くのかなと思ったりします。年配の方が先にやると若い人はそれを 見て勉強したりマネをしたりしますからね。日本人は自分の事しか考えない年配の方が多いような 気がします。ごく一部助け合う精神のある日本人はいるかも知れないけれどね・・・・。 この記事を読んでうーんと考えさせられました。ありがとうございます。

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