「まんぼう」
あなたはこの言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?
コロナ事態で、最近よく聞く言葉ですが、正式呼称はご存知ですか?
「まん延防止措置等重点措置」ですが、ほとんどの人たちはこの魚の「マンボウ」が頭に浮かんでくるのではないでしょうか?
日本人だと、この魚ののんびりしたイメージが先に出てきて、「不要不急の外出」「○人以上の会食は自粛」など、想像しにくいのではないでしょうか?
そこで、日本語での略語の作り方を確認してみようと思います。
1.AaBb→AB
・原子力発電→原発
・藪をつついて蛇を出す→やぶへび
・タワーマンション→タワマン
・天然パーマ→天パ
これがこの「まん防」のパターン。
2つ以上の単語の頭の部分だけピックアップするパターンで、和語、外来語、漢語、またはそれらが混合したものを問わず、使われます。
一番略語の作り方として、一番多いのではないでしょうか。
なお、これは日本語に限ったことではないようです。
ネットスラングですが、英語では「Rest In Peace→RIP(ご冥福をお祈りします)」、韓国語では「요리를하는섹시한남자→요섹남(料理するセクシーマン)」という例がありますね。
2.AB→A
・インターチェンジ→インター
・リストラクチャリング→リストラ
・ストライキ→スト
単語の頭の部分のみを残して、省略するパターンです。
3.AB→B
・インターネット→ネット
・サランラップ→ラップ
・プラットホーム→ホーム
2.とは逆のパターンで、単語の後ろの部分のみを残して、省略します。
2.と3.はカタカナ語が多いですね。
4.AaBb→aB
語彙の中央の部分のみを残す省略です。筆者が思い浮かぶこのパターンは「渡辺恒雄」→「ナベツネ」だけですが、他にありますか?
もしご存じの方がいたら、ご意見、お待ちしております。
略語は大きく分けて、この4つのパターンに当てはまると思います。
なお、パターンの違いが言語間で生じることもあります。
「アルバイト」は日本語で3.のパターンで「バイト」と言いますが、韓国語では2.のパターンで「アルバ(알바)」と言います。
筆者はとある留学生から、「インター」は「インターネット」の略じゃないのかと、聞かれたことがあります。
また、略し方のパターンがたまたま同じで、「まんぼう」と同じく、紛らわしかったり、イメージがついてこなかったりすることもあります。
それぞれ、あなたは何の略か、わかりますか?
「ワーホリ」→ワーキングホリデー?ワークホリック?(過労?)
「マツケン」→松平健?松山ケンイチ?
「生活保護」は「生命保険」との区別のためか、「生保(セイホ)」ではなく、「ナマポ」と、漢字の読み方を湯桶読み(2文字の漢字熟語で1文字目が訓読み、2文字目が音読み)と半濁音化(パ行音化)でネットスラングとして定着した例です。
最後に、冒頭で述べた「まん延防止措置等重点措置」。
1.のパターンで「まんぼう」だと、魚のマンボウを連想してしまうとのことで、使われてこそいるものの、そぐわないと思われているようですね。
筆者の意見としては、2.のパターンで「マンエンボウ」とかの呼称にすれば、ある程度はイメージの変化があるのではなかろうかと邪推していますが、いかがでしょうか。
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