高校数学でも、「何の役にたつのか分からない」と言われ続けて何十年にもなるのが、
この三角関数ではないでしょうか。
何の役にたつのか分からないものは、三角関数に限らずいろいろあるのだと思いますが、
教科書の中には、フーリエ級数についてさらっと紹介されているものがあります。
フーリエは、フランス革命の頃の数学者で、ナポレオンのエジプト遠征にも同行した人です。
私の個人的見解では、これぞ研究者という人物です。
政治的には、王政から民主政治への移行期で戦争も起こり、歴史の勉強が好きな人にとっても、
面白い時代なのではないかと思います。
フーリエは、政治の意味では、簡単に派閥を乗り換えますし、簡単に忠誠を誓い、簡単に裏切ります。
それでもフーリエがいろんな権力者から信頼を得たのは、彼が純粋に技術者であり研究者であり、
与えられた仕事への純粋な探求心だけで、何のポリシーも持ち合わせていないことがむしろ評価されたからではないかと思います。
数学者というよりは、答えを出すためならば、数学でも何でもやるといったところです。
フーリエの数学者としての仕事は、平たくまとめると、関数を波(三角関数)に分解したということです。
これは、今日までいろんなところで形を変えて応用されています。
今日では、音や画像の情報を波に分解すること自体を、フーリエと呼んでいるような状況もあります。
三角関数が役に立たないという人には、二種類あります。
解析については、一部の専門家に任せておこうという「関わりたくない」ケースと、
三角関数だけで今日の解析が事足りるわけがないだろうという「卒業した」ケースです。
バブル前後に社会人をやっていた理系の人間からしたら、後一言説明するだけで、
高卒の人が皆フーリエ級数を理解できるという教育水準の高さが日本の誇りということにもなりますが、
それも20、30年も前の話ということにもなります。
「卒業した」人はともかく、「関わりたくない」人々を増やしてしまっている、原因は、
私はむしろ、三角関数を数学科で扱うからではないかと思います。
htmlは中学技術で学習し、投資信託は高校家庭科で学習するわけです。
ここは、三角関数の骨董価値も、FAXの時代からストリーミングの時代への技術革新も、
歴史の教科書で扱ってもらってはどうかと思います。
教育に失敗があるとしたら、宣伝に失敗しているという話なのだと思います。
社会に出たら、本能寺の変が何年だったか、役に立ったこともありませんし、
自分が覚えていなくても、周りの人に聞けば大抵知っているので、覚えておく必要もありません。
けれども、社会に出て、周りの人を戦国武将に例えてみるなど、
老若男女問わず、歴史で本能寺の変が扱われる限り続くのではないでしょうか。
広告や、情報伝達についても、時代が変わったと感じています。
なかなかビッグデータの時代にもついて行けませんが、謙虚な気持ちで、学び直したい、今日この頃です。
Comments (0)