弦交換のあと〜弦が伸びるまでの練習〜

中村勇太

自分の経験上、弦を張り替えるのは、寝る前がいいです。

やはり、自然に伸びる時間があった方が、音を出した時に「くるった音を直す」時間が節約できると思います。

 

弦を交換した時、伸び方狂い方は4本の弦ごとに異なります。

 

そうすると、ある程度落ち着くまで音がくるった状態で4本の弦を行ったり来たりというのはかなりしんどいです。

重音を使った練習は、頭と耳と手の連結を解除されるようです。

練習になっているのか怪しくなることもあります。

 

弦が安定するまでは、一本ずつ開放弦を弾くのがいい練習です。

開放弦にも、弦の掴み方、離し方、腕の重み、弓の軌道・・・使い分け、組み合わせでいろいろな表情があります。

 

しかし、開放弦と、指で押さえた時の音というのは、右手の加減がまた違うものです。

 

そういうときに、音がくるっても指の場所が狂わない方法は「ハーモニクス」(フラジオレット)です。

 

そして、ハーモニクスを鳴らした直後にそのまままっすぐ下に指を落として実音に変えるというのはとても大事な練習です。そして案外難しい。(指先の形は丸い、そしてわずかな関節のコントロールも難しい)

 

最低限の指の重み、弦の締め具合、指を落とす速度、そして自分の指の形、自分の指の関節、自分の指の筋力を自覚することにもなります。

 

演奏技術には最終的に「感覚」が必要ですが、感覚の移植はできないです。

同じことができていても感覚が同じかはわかりません。

 

そういう感覚を伝える、教わるために本に載っていないようなささやかな知識、受け継がれてきている練習法というのがあります。

本コラムは、講師個人の立場で掲載されたものです。
コラムに記載されている意見は、講師個人のものであり、カフェトークを代表する見解ではありません。

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