語学学習に欠かせない辞書。
学習者のみなさんは、辞書をどのように活用していますか。
私のレッスンを受講している生徒さんの多くが、
「言葉の意味を調べるため」と答えます。
意味が不確かな言葉に出会った。
こんな時、間違いなく役に立つのは、辞書です。
辞書には、言葉の意味が示されているからです。
だから、意味の不確かな言葉は、辞書を引きます。
ところが、辞書で言葉を引いてみると、意味の他に、
発音記号や例文など、その言葉に関する情報が盛りだくさんあることに気がつきます。
それにもかかわらず、多くの学習者の方が、
「言葉の意味を調べる」だけで終わっています。
もっと辞書のいろいろな機能を知って使ってほしい。
そんな思いから、文を作るための辞書活用術をお伝えします。
なぜ、文を作るためだけに限定したかというと、
話すにしても書くにしても、
文という形が、私たちのコミュニケーションの基本だからです。
英語にしても日本語にしても、言葉1つではなく、
いくつかの言葉をつなぎ合わせて文という形で、
私たちは、自分の気持ちや意見を伝えています。
文を作るには、辞書でどんな言葉を引けばいいでしょうか。
それは、「動詞」です。
英語で文を作る時に、最も要となるのが動詞だからです。
文を作る際に、考えなければならないのは、語順(=言葉の順序)です。
例えば、「I like tea.」という文があるとします。
この文の語順を、like I teaや tea I likeなどに変えたとします。
語順を変えると、意味は、「I like tea」と同じでしょうか。
いいえ、語順が異なると、意味が同じにはなりません。
更に言うと、語順が異なると、文としてみなされません。
意味を正確に伝えるには、決まった語順のルールに従って、
言葉を並べる必要があります。それを文型と呼びます。
辞書では、動詞に文型が書かれています。
例えば、likeという動詞を引くと、冒頭にSVOという記号が書かれています。
SVOとは、第3文型のことで「S(主語は)o(目的語を) V(する)」という言葉の順序です。
英語には語順のルールが5つあり、
第1から始まり第5文型と呼ばれています。
今回は文型がテーマではないので、細かい説明は割愛しますが、
この1から5のいずれかの文型に従って、言葉をつないでいくと正しく意味が通じる文になると、
英語では考えられています。
その5つの文型どれを使うかは、
使う私たちにゆだねられているわけではありません。
動詞ごとに、それぞれどの文型を使うか決まってます。
だからこそ英作文する時には、辞書で真っ先に「動詞」を調べて欲しいのです。
どの語順で文を作るかがわかると、後はそれに合わせて単語を並べて行くだけです。
今まで悩んでいたのは何だろうと思うくらい、あっさり文が作れます。
ところで、辞書によってはこの動詞の文型が掲載されていない物もあります。
辞書と一言で言っても、さっと意味だけ調べるものから、
じっくりと言葉の歴史を語るものまで
さまざまな辞書があるからです。
色々なタイプの辞書がある中で、言語を教えるプロとして
私がお勧めしたいのは
先述した文型が記載されているものです。
それは、どんな時でも、文型=語順が正しければ、意味の通じる文になるからです。
この文で正しいかなという不安を解消してくれるのは、
教師でも英語がわかる人でもなく、
文型であり、それが掲載されている辞書です。
意味だけでなく、動詞をたくさん引いて、文型を確認して、
正しい語順の文をいつも作れるようにしていくと、
自然と皆さんの英語が、そしてコミュニケーションが、豊かになっていきます。
辞書の「動詞」に注目して、たくさん調べて文を作ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんの一日が言葉と文化でちょっと素敵になりますように。