古文の中でも特に多くの生徒が苦手とするのが「敬語」です。敬語は、古文を理解する上で重要な要素であり、敬語を正確に把握することは、登場人物の人間関係や物語の背景を理解するために不可欠です。この記事では、中学生や高校生、そして保護者の方々に向けて、古文の敬語を簡単に理解するための「3つのステップ」をご紹介します。このステップを通じて、敬語の基本的な構造を学び、受験でも高得点を目指せるようになるでしょう。
ステップ1:敬語の基本3種類を理解する
まず最初に、古文における敬語の基本的な種類を把握することが大切です。古文の敬語は、現代の敬語と同様に「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つに分類されます。それぞれの役割を理解することで、どの敬語が使われているのか、そしてどのような意味を持っているのかを判断できるようになります。
1-1. 尊敬語(そんけいご)
尊敬語は、相手を高めて敬意を表すための言葉です。登場人物の中で地位の高い人物や、話し手が敬意を示したい相手に対して使われます。例えば、天皇や貴族に対して使われることが多く、「おっしゃる」「いらっしゃる」のように、行動する人そのものを尊敬する表現です。古文では、特定の動詞が尊敬語として機能します。
代表的な尊敬語の動詞には、以下のものがあります:
- おはす、おはします(いらっしゃる)
- のたまふ(おっしゃる)
- たぶ、たまふ(お与えになる)
これらの動詞が登場した際には、誰が誰に対して敬意を示しているのかに注目しましょう。例えば、「帝(みかど)のおはすところ」という表現は、「天皇がいらっしゃるところ」という意味になり、天皇に対して尊敬語が使われています。
1-2. 謙譲語(けんじょうご)
謙譲語は、自分や自分の側の人間が、相手に対してへりくだって表現する際に使われます。つまり、話し手が行動する主体を低めることで、相手を高める表現です。尊敬語が相手を持ち上げるのに対し、謙譲語は自分を低くすることで相手に敬意を示します。古文では特定の動詞が謙譲語として使われます。
代表的な謙譲語の動詞には、以下のものがあります:
- まゐる(参上する)
- たまはる(いただく)
- まうす(申し上げる)
例えば、「先生にまうす」という表現は、「先生に申し上げる」という意味になり、話し手が先生に対して謙譲していることを表します。このように、謙譲語が使われるときには、誰が誰に対してへりくだっているのかを確認しましょう。
1-3. 丁寧語(ていねいご)
丁寧語は、相手に対して敬意を払いつつ、話の全体を丁寧にするための表現です。古文では、主に話し手が聞き手に対して敬意を払う形で使われます。丁寧語の特徴は、動詞や助動詞の後に「侍り(はべり)」「候ふ(さぶらふ)」などがつくことです。
代表的な丁寧語の動詞には、以下のものがあります:
- 侍り(はべり)(おります、あります)
- 候ふ(さぶらふ)(ございます)
例えば、「ここに侍り」という表現は、「ここにおります」という意味になります。この場合、話し手が聞き手に対して丁寧な態度を示していることがわかります。
ステップ2:敬語の「誰に対して」使われているかを意識する
敬語を正確に理解するための次のステップは、「誰に対して」敬語が使われているのかを意識することです。古文では、敬語の対象となる人物が重要な役割を果たします。例えば、天皇や貴族のような地位の高い人に対して尊敬語が使われる一方、話し手が自分自身や目上の人に対して話す場合には謙譲語が使われます。
2-1. 敬語の対象を見極める
古文の文章を読む際には、誰が話していて、誰に対して敬語が使われているのかを確認することが重要です。例えば、次のような文を見てみましょう。
- 「帝にまゐりたまふ。」
この文では、「まゐる」という謙譲語が使われています。「まゐる」は「参上する」という意味であり、この場合、話し手が帝(天皇)に対して自分をへりくだって使っています。したがって、「天皇のもとへ参上する」という意味になります。
また、次のような例も考えられます。
- 「姫君、おはします。」
この文では「おはします」という尊敬語が使われており、姫君に対して敬意が払われていることがわかります。ここでの敬語は、話し手が姫君を尊敬していることを表しているため、「姫君がいらっしゃる」という意味になります。
2-2. 人間関係に注目する
敬語が誰に対して使われているのかを理解するためには、登場人物の人間関係を把握することが大切です。古文の物語では、身分や地位が物語の展開に大きな影響を与えるため、登場人物同士の関係性を理解することで、敬語の使い方もより明確になります。
例えば、物語の中で天皇や貴族が登場する場面では、尊敬語が頻繁に使われますが、家族や身分の低い人物同士の会話では、丁寧語や謙譲語が使われることが多くなります。このように、登場人物の関係性を理解することで、敬語の役割が明確になり、文脈の理解が深まります。
ステップ3:敬語の形を覚えるためのコツ
最後のステップは、敬語の形をしっかりと覚えることです。古文の敬語は現代語とは異なるため、まずは基本的な形を暗記し、自然に使えるようにしましょう。ただし、単に暗記するだけではなく、文脈の中で理解することが重要です。
3-1. 敬語の動詞をリスト化する
効率的に敬語を覚えるためには、動詞をリスト化して整理するのが効果的です。尊敬語、謙譲語、丁寧語の動詞をそれぞれの種類ごとに分類し、覚えやすいようにまとめましょう。例えば、以下のようなリストを作成してみてください。
- 尊敬語:おはす、おはします、のたまふ、たまふ
- 謙譲語:まゐる、たまはる、まうす
- 丁寧語:侍り、候ふ
リストを作成したら、実際に古文の文章に登場する場面を想定して、これらの動詞を使って練習することが大切です。敬語の使い方に慣れるためには、繰り返し練習することが重要です。
3-2. 敬語を使った例文を作る
敬語を覚えるもう一つの方法は、実際に自分で例文を作ってみることです。例えば、「帝にまうす」(天皇に申し上げる)や「姫君、おはします」(姫君がいらっしゃる)といった簡単な例文を作成し、実際の古文の文脈に当てはめてみましょう。例文を作ることで、敬語の使い方がより実践的に身につきます。
まとめ
古文の敬語を簡単に理解するためには、まず基本的な「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類を押さえることが必要です。次に、敬語が誰に対して使われているのかを意識し、登場人物の人間関係や状況に応じた使い方を理解しましょう。最後に、敬語の動詞をリスト化して覚え、例文を作って練習することで、敬語の形を自然に使えるようになります。
この3つのステップを実践することで、古文の敬語に対する苦手意識を克服し、受験でも高得点を目指せるようになります。
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