1. そもそも「返り点」とは?
返り点とは、漢文を日本語の語順に直す際のルールを示す記号のことです。漢文は中国語の文法に基づいて書かれており、そのままでは日本語として意味が通じません。返り点を使うことで、漢文の語順を日本語の自然な語順に読み下すことが可能になります。
主な返り点の種類
- 一・二点(レ点)
漢字の右下に「レ」と記され、すぐ前の漢字に返って読むことを指示します。 - 上下点(一、二、三点)
漢字の左下に「一」や「二」などが記され、番号順に返って読むことを指示します。 - 甲乙点(甲・乙)
特殊な返り点で、主に複雑な語順の変更が必要な場合に使われます。
2. 返り点のルールを理解しよう
返り点を正しく使うには、以下のルールを理解する必要があります。
レ点の使い方
レ点はすぐ前の漢字に返る
例:
「人ニ事フ」
→「人に事(つか)ふ」
※「事ふ」は「仕える」という意味。
一・二点の使い方
番号の若い順に返る
例:
「天(一)我(二)愛ス」
→「天我を愛す」
→「天は我を愛す」
レ点と一・二点の組み合わせ
返り点は、レ点と上下点を組み合わせることがあります。これにより、より複雑な語順の変化が指示されます。
例:
「学問(一)ヲ(二)為ス(レ)」
→「学問を為す」
甲乙点の使い方
甲乙点は高校生が扱う問題ではあまり頻出しませんが、古典文法を深く学ぶ際に登場します。甲は乙より先に読むことを指示します。
3. 実際に返り点を読む練習をしてみよう
例題1:「人ノ道ヲ学ブ」
- 「ノ」の下にある「レ点」に注目。
- 「人の道を学ぶ」と読み下せます。
例題2:「山(一)川(二)美(レ)シ」
- 「一」と「二」の順に返る。
- 「山川美し」と読み下せます。
例題3:「天(一)ヲ(二)敬フ(レ)」
- 「一」と「二」の順に返り、「レ点」でさらに返る。
- 「天を敬ふ」と読み下せます。
4. 返り点をマスターするための勉強法
(1) ルールを徹底的に覚える
まずは返り点のルールを暗記しましょう。これは知識として覚えれば済む部分です。教科書や参考書にある返り点の説明を丁寧に読み込み、例文を声に出して読み下してみることが大切です。
(2) 実際に書き込む練習をする
漢文には返り点を自分で記入する問題もあります。次の手順で練習してみましょう:
- 例文を用意する。
- 語順を考えて返り点を書き込む。
- その語順に従って読み下す。
(3) 定番の教材を使う
学校の教科書だけでなく、市販の漢文参考書や問題集を活用することも効果的です。おすすめの教材には次のようなものがあります:
- 「漢文必携」(高校生向け)
- 「漢文ヤマのヤマ」(受験生向け)
(4) スキマ時間で音読する
漢文は声に出して読むことで覚えやすくなります。短い例文をスマホやノートにメモし、通学時間や休憩中に音読する習慣をつけましょう。
(5) 過去問で実践練習
受験生は過去問演習が欠かせません。特にセンター試験や共通テストの漢文問題では返り点の理解が問われることが多いため、実戦形式で練習してください。
5. 応用編:書き下し文から漢文を作る
返り点を逆に使って、書き下し文から元の漢文を作る練習も効果的です。これは返り点の理解を深めると同時に、漢文の語順感覚を養う上で非常に役立ちます。
例:「天を愛す」を漢文にする
- 主語は「天」、述語は「愛す」。
- 目的語「を」は「一・二点」で示す。
- 漢文にすると「天(一)我(二)愛ス」となります。
6. 漢文の返り点攻略のポイントまとめ
ポイント1:基本ルールをマスター
返り点のルールはシンプルですが、慣れるまでは混乱しやすいです。繰り返し練習して、自然に読めるようになるまでトレーニングしましょう。
ポイント2:声に出して読む
音読は漢文を学ぶ上での基本です。返り点のある例文を何度も声に出して読み、日本語として自然な語順になるように意識してください。
ポイント3:間違いを恐れない
漢文の返り点は初めて学ぶときには間違えることが多いです。しかし、間違いを恐れずに練習を続けることで必ず慣れていきます。
7. 最後に
漢文の返り点は、最初は難しく感じるかもしれませんが、実際には非常にロジカルで規則的な仕組みです。基礎を押さえたら、次は応用問題にチャレンジし、自信を深めていきましょう。受験に向けてしっかりと対策を進め、漢文を得意分野にしてしまいましょう!
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