▶プロローグを読む
先ごろ、某キャラクターブランドのバレンタイン用製品で
「女の敵は女」というフレーズが、誰が騒いだか大炎上となり製品の販売が中止となった。
Toriaが社会人になったのは、 “男女雇用機会均等法”が制定され数年後の平成元年。
まだ、女の敵は男でもあり、女でもあり、そして自分でもあった
そんな時代の事。
上場企業の食品商社という事に、キラキラした思いを抱いたのはほんの数日。
そんな中、組合の集まりで出会ったのが「彼」だった。
わたしよりひと回り上で
長い間、海外勤務だったという彼は
少し背が低いけれど、鼻筋が通っていて、日本人離れした顔が格好良く見えた。
しかし、外見の雰囲気から信じられぬほど、気さくな人柄にわたしは一気に魅かれた。
わたしの方が先に、彼を好きになった♡
仕事は単調で、何の面白みもやりがいもなかったけれど
彼に会える。そのことだけが、会社に行く楽しみになっていた。
そして、会社の外でも、彼と過ごす時間が多くなった。
そんな中、彼のオーストラリア勤務が決まった。
どう考えても、3年は本社に戻って来ない。
まだ、スマホもPCも無かった時代。遠距離恋愛は、辛すぎた。
お互い、週に何回か手紙を送り
国際電話を掛ける事も多かった。
とにかく、遠くて遠くて仕方なかった。
「会えない時間が 愛育てるのさ~」と、郷ひろみが歌っていたが
その会えない時間が、どんどん思いを深めていったのは確かだ。
赴任して1年後、やっと彼が一時帰国で日本に戻って来た。
でも、また彼が海外に戻り”離れ離れ”になる事を思うと
会えた嬉しさよりも寂しさが募った。
すると、急に彼が信じられない事を言いだした。
「会社辞めようと思う」
思わず、耳を疑った。
上場企業で花形の海外勤務。その職を辞めるなんて。
「Toriaは知らないかもしれないけど、前に俺の上司だった人がさ
会社起こすんだよ。・・・で、ついて行こうと思う。
ただ、そうしたらさ、しばらくまたオーストラリア行ったままになる」
言葉が出てこなかった。
会社を辞めて、海外にまた行って…
どうなるのか。
そして、彼が最後に言ったこと。
「結婚して、海外に一緒に行ってくれないか?」
わたしは、無表情だった。
こんなに好きで、好きで、しょうがない彼からのプロポーズなのに
その言葉に
竹内まりや「夢の続き」(1987)
22歳で、ひと回り上の彼からのプロポーズ。
本当なら「はい! 喜んで」なんでしょうか?
まさか、この後
女の敵・・・現る!?
そして、とんでもない修羅場がやってくるとは思わなかったけれど。
TORIA (o ̄∇ ̄)/ ▶第2話を読む