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そういえば…
まず、海外に行くどころか
Toria、国内も飛んでいない。
生まれてこの方26年、飛行機に乗った事がない。
営業事務員の国内出張でさえ、あり得ない会社で
まず第一段階の、新幹線で国内出張から実現しなければならない。
Toriaは自分の手帳に、また自分の願いを書き出した。
・新幹線で国内出張、その次は飛行機に乗って北海道出張
実は、ここでToriaを応援する心強い味方が出て来た。
カナダの取引先の会社のスタッフが
Toriaの仕事への頑張りに、援護射撃をしてくれるようになった。
事務員が出張という事に、随分と社内では揉めたものの
カナダの大切なサプライヤーから
「彼女にアテンドをお願いしたい」との提言に
前代未聞、前例の無い、事務員の仙台出張が実現した。
一度、実現したら、そこからは福島、浜松、大阪、名古屋、福岡、金沢。
そして、ちゃっかり初めての飛行機乗っての北海道。
とうとう、ポンコツOL
日本の空を飛んだのだ。
国内を飛んだのだから、これは海外に行けるのではないか!?
ポンコツの胸にたぎる思いは、どんどん熱くなっていく。
しかし、やはり海外出張はハードルが高かった。
カナダのサプライヤーが一所懸命に援護をしてくれ
「彼女の勉強のためにも、ぜひカナダに視察を」と何度も言ってくれた。
・・・が、Toriaの会社側は
「前例がない。一般事務員が海外出張だけはあり得ない」と
どうにもならなかった。
「やっぱり、駄目なのか…」
そうそう、大きな夢は叶いそうにない。
すると部長が「総合職になれば、行けるよ」と言い出した。
しかし、一般事務員から総合職になった女子社員は今までいない。
それこそ、前例がなかった。
部長は言葉を続けた。
「Toria君、今、大学に行っているだろう。
何としても、卒業しなさい。そうしたら、総合職になれる」
総合職になるには、4年制大学卒業という条件が必須だった。
どう頑張っても、卒業出来るのは2年後・・・3年後か。
心には、無理か…との思いと
どうしても、今のポジションのままで
その“前例のない”と付くポジションのままで・・・。
米米CLUB「浪漫飛行」(1990)
気が付けば、飛行機乗った事さえなかったToria。
さて、大学卒業するのが先か
それとも、前代未聞を突破するか…。
しかし、日本では「前例のない」っていうフレーズ、よく使いますね(〃艸〃)
TORIA (o ̄∇ ̄)/ ▶第5話を読む